兵庫県尼崎市の住宅の現場リポートです。これは解体前の家。築35年以上、補修も度々したそうですが阪神大震災にも崩壊することなく立派に役目をはたしました。お疲れさま!!!!ここにたどりつくまでには紆余曲折ありましたが、5月に(やっと)着工しました。下は完成予想模型です。
2005/07/21 fujimoto
日が良いということで、お施主様ご希望でこの日に晴れて着工。よし!いよいよだ、、、。と思っていたものの、予算調整が追いつかず玄関先のタイルを壊して「かかり初め」と致しました。工事担当者曰く「よくあるケースですよ」とのこと。(でも内心複雑)実施設計が終了して工事業者へ見積もりをとりますが、当初予算に納まっていればトントンと進みますが予算オーバーとなれば調整が必要です。今回は予算調整に時間がかかってしまいました。ゴメンナサイ。ちょうどゴールデンウィークにはまってしまいつづきは5月半ばとなったのでした。
2005/7/25 fujimoto
6月7日 本格的に解体が始まりました。(やっとだー)解体前の調査でお隣の水道管が敷地を横切っていることが判明。場所の確認とお隣とお施主様に承諾をとったりで6月にずれこんでしまいました。予期せぬことがいろいろあるものです。
2005年6月7日まずは養生。シートで四方仮囲いをします。粉塵などが近隣へ飛散するのを防ぐためです。上部、黄色いは電線保護の為のカバーで、電力会社にいうと無料で設置してくれるそうです。
2005年6月8日一日経過。仮囲いからはみ出ていたはずの2階部分はすでにありません。2階部分は手壊ししたとのこと。右側に解体重機も見えますね。壊しだすと早い中は一体どうなっているんでしょう。
2005年6月9日解体重機はミニ油圧ショベル(木造解体用)のようです。解体が始まってちょうど梅雨入りとなった関西地方。この日も小雨でした。現場管理者によると少々雨が降った方が埃が舞わなくてちょうどいいんだそうです。なるほど。
2005年6月11日建物の原型はなくなり、がれきの山となりました。
道路側からみるとこんなです。
2005年6月14日 境界に建っていた塀も撤去され、晴れて更地に。約1週間の解体工事でした。建物がみっちり建っているときには見えなかったものが見えてきますね。あまり広くないとわかっていたものの、こぢんまりしいるという印象。
そして、新たに建てられる建物の外形を示す「地縄」が張られました。
「うーん、敷地ぎりぎりすぎたか?でも、、、」と頭の中がグルグルしてきます。竣工まで、「あーでもない、こーでもない、やっぱりこれしかない!」と常に頭の中がグルグルするのです。
朝、現場管理者が慣れた手つきで「斎竹(イミダケ)」を土地の四隅に建てていきました。
祭壇です。南向きか東向きが良いようです。今回は東向きでした。
「神餞(シンセン)」と呼ばれるお供え物が祭壇に飾られます。米、お酒、塩、水、魚、海の幸、山の幸、果物など。尾頭付きタイやピーマンキャベツも並んでいます。鰹は鰹パックでした。
素朴なものばかり。基本は生のもので果物などは季節の物が良いようです。
今回は神主さんが用意してくださいました。
そして祭壇左にはdoa作成の家の模型が、、、、、、。
「手水の儀(テミズノギ)」:入口に用意された手水桶から柄杓で水を汲み、手を洗い口をすすぎますその後白紙で手を拭きます。
「開式の儀(カイシキノギ)」
神主が祭典を始める旨をつげます。
「修祓(シュバツ)」
神主が神餞、祭具、玉串など祓い清めます。
「降神(コウシン)」
神を神餞にお招きします。
「献餞(ケンセン)」
神に神餞品をお供えします。
「祝詞奏上(ノリトソウジョウ)」
何事もなく工事が終わるようにと神主さんが神前に祝詞を奏上します。
「四方祓え(シホウバラエ)」:建設現場の四隅を祓い清めます。
「地鎮の儀(ジチンノギ」:設計者が鎌(カマ)、施主が鍬(クワ)施工者が鍬(スキ)を持って盛砂を3度作業する仕草をします。こちらが施主です。
ちなみに設計者の私は鎌を持ち「エイッエイッエイッ」のかけ声と共に盛砂の上のササを刈ります。ちょっとへっぴり腰になってしまって、声も上ずってしまって恥ずかしい。緊張しました。
毎回思うのですが施工者の方は慣れていてかけ声もとても上手です。今回は社長自らおいでになりました。縁起をかつぐということで、出きる限り出席しているということで今日は日もいいので2か所はしごということでした。
「玉串奉奠(タマグシホウテン」:玉串を施主、設計者、施工者の順に捧げます。玉串の回転は右回り?左回り?と考えながら枝側を前方に向け供えます。そして二拝、二拍手、一拝。柏手が「パンッパンッ」だとばっちり決まりますが、私の場合「ペチペチ」と鳴り、残念。やっぱり工務店の社長は素晴らしい音がでていで感心。
「昇神(ショウシン)」:お招きした神様にお帰りいただきます。
「神職退下(シンショクタイゲ)」:神主が退出し祭儀終了です。
乾杯で少々のお酒をいただきました。お供え物は神のお下がりということで施主が受け取りました。
しばらくおかずになるわとお喜びでした。ちなみに尾頭付きのタイは施主がさばいてくれお刺身とあら煮に。昼食として私のお腹にも納まったのでした。
無事、竣工を迎えられますように。
2005/8/5 fujimoto
地鎮祭も滞りなく終わり、工事用仮設トイレも設置されました。敷地いっぱいの計画のため、仮設トイレの位置も限定。(お隣さんゴメンナサイ。きれいに使います!)
地鎮祭の当日は敷地の確認も行いました。もちろん設計前には出る限りの現場調査、実測などをし測量図と照らし合わせながら敷地の設定を行っているのですが、ぴったりとはいきません。今回は道路側については間違いなかったのですが、敷地奧にいくにつれやや狭くなっておりました。下は狭くなっている北東の角。右側に隣家の水道もあり、その配管もこちらの敷地に入っていたので、移動させてもらいました。ぎりぎりの計画なのでとても気になるところですが、ほぼ計画通りできそうです。建物と敷地境界までのアキ寸法を確認し、なるべく道路側に建物を寄せることで奧の寸法を確保しました。
基準点BM(ベンチマーク)は西南の角。L字側溝の天端とし、道路から玄関までのレベルと既存の塀の埋込など考慮し、GLはBM+50としました。実際の敷地に対しての配置と高さが決定されました。
2004/8/8 fujimoto
さていよいよ、基礎工事です。やっとだ、やっとだ、と思っていたところ工務店の担当者より、「地盤調査はどうされますか?」と問い合わせ。念のためやっておきましょうということでスウェーデン式サウンディング試験(SS試験)をやりました。
敷地内の5か所ほどで測定しました。
SS試験は国土交通省から「地盤の許容応力度及び基礎杭の許容支持力を求めるための地盤調査の方法」として位置づけられ、特徴としては
(1)柔らかい地盤の調査に適している
(2)装置が単純でそうさが容易である
(3)迅速に測定できる
(4)同種の調査機中では比較的貫入能力に優れている
調査費も安く、昨今住宅などの小規模建築物で地盤調査といえばSS試験を指すほどになっているそうです。設計前に確認していた行政地耐力は5Nで問題なし、べた基礎だし大丈夫とタカをくくっていたのですが結果は、3メートル下まで質層の出てこない軟弱地盤というころが判明。
「えーっなんでえ!」
一瞬頭が真っ白になりました。しばらくあきらめきれず本をひっくり返し、友人に聞き、ネットで調べたのですが、最終的には構造設計者の「結果をみると明らかで地盤改良せざるおえない」で納得したのでした。出だしで予想外のことが起きてしまいなんともがっくりでした。これからはまずSS試験します。
2005/8/31 fujimoto
SS試験後、早速柱状改良杭の工事が行われました。セメント系固化剤を添加しながら土と固化剤を撹拌しながら杭を作っていきます。終了後、上部からみた写真。主な柱の直下で、計29本約3メートルの高さで打ちました。柱状改良杭は堅い地盤での支持力と同時に、軟弱な地盤の杭の周囲の土との摩擦力のふたつで建物を支えています。
2005/12/30 fujimoto
柱状改良杭終了後、2日ほどの養生期間をおいて掘削。割栗石(t=100)捨てコンクリート(t=50)、透湿防水シートが施工されました。現場の前にいるのは、施主のお孫さん。Yくん。ポーズ!基礎コンクリートの形状が見えてきました。今回はべた基礎で深く溝になっている部分はちょうど壁のくるところで、土台や柱をを固定するアンカーや金物を埋め込まれます。
2005/9/5 fujimoto
しばらくぶりとなってしまいました。実際の現場はどんどん進行しているのに、「まだ上棟しないのかっ!」の声も。基礎の配筋です。7月8日 配筋検査をしました。「すごい立派だ!こういうの最近見ない。」近隣に住む方々に言われたと御施主様。そればかりか、職人さんからもそんな声が。「頑丈すぎるんだろうか、、、」一瞬頭をよぎったのも事実ですが、いえ、これが本来の姿なんです。建物外周の基礎です。鉄筋のピッチやコンクリートのかぶり厚さ、アンカーボルトの位置などチェックします。内部です。
最近のいわゆる建売住宅では、鉄筋のピッチ250程度、シングル配筋もありと聞きました。こちらはピッチ200ダブル配筋なので、「えっそんなもので良いわけ?」一瞬頭をよぎったのも事実なんですが、これが本来の姿なんです!でも一体どんな大きな建物が建つのだろうと想像してしまいますか?そして、以下コンクリート打設後の写真です。コンクリートの配合については事前に配合計画書で確認します。次回上棟です!!
2005/10/03 fujimoto
しばらく更新していませんでしたが「尼ヶ崎の家」を再開します。今回は「祝!上棟!」です。一般には建前と呼ばれ正式は「ムネアゲマツリ」というようです。木造の柱と梁を屋根まで組み上げるので家のスケールが一気に立ち上がり工事期間中でも特別な一日であります。うえの写真は棟木の一番高いところに幣束(へいづか)あるいは幣串をたてて破魔矢を飾っています。工事が終わると屋根裏に納められます。下の写真は組立がはじまったところです。上棟は鳶などの職人が集まりクレーンを使って一日で作業をします。
2006/04/06 ishikawa
写真は組立がはじまったところです。上棟は鳶などの職人が集まりクレーンを使って一日で作業をします。
二階の小屋梁を吊り上げている所です。尼ヶ崎の家の2階はワンスパンで小屋裏まで表しとなっているため、集成材加工し工場で製作したトラス梁を現場に固定します。
鉄骨階段の固定も終え上棟しました。
上棟が終わると四隅にお清めにお酒を蒔きます。このあと工事関係者とお施主さんで御神酒で乾杯し懇親の意味を込めて「直会」をするのが一般的な流れです。
上棟も無事終わり仮囲いのシートをして看板類を設置したことろです。我々のアトリエは東京であるため工事監理は2週に1回程度となりますので、工務店に記録写真を工程ごとに残して貰いました。今回、依頼した大阪の平尾工務店は友人に紹介して貰ったのですが、学校などの公共工事も手がけている大きな建設会社でその住宅部門になります。従って鉄骨工事や集成材の加工など苦手にする工務店も多いのですが首尾良く図面を読みとって対応してくれました。
2006/4/7 ishikawa
拭き漆のパネル@作業所
土台の下の通気がガラリです。
断熱材と目止めのテープ貼りです。扇風機があるので季節がばれていまいますね。
グレーの部分が遮音シートです。トイレの周囲は遮音シートを施工しています
建築基準法でホルムアルデヒドの放散量を規制し24時間換気を原則義務づけしてからもの凄い勢いでフォースターの内装材が普及した。これは法的な監理方報告に添付した写真の一部である。(すべての検査機関で写真添付を義務づけしてはいない。)
2006/4/26 ishikawa
外壁はガルバリウム鋼板で多くの既製品が発売されています。これはメーカーはアキレスから出ている商品です。今回採用したものは、ガルバリウム鋼板そのままの無塗装品です、無塗装のガルバリウム鋼板には表面に独特の結晶模様が出るのが今ひとつなのですが、下の写真を見てもらうとわかるのですが、タテのリブの凸部分にさらに立て筋のリブが入っています。これがガルバリウムの結晶模様をわかりにくくしています。さらにはこの細かいリブよって光りを拡散し明るい印象を与えています。さらにいえば無塗装品が一番安価です。尼ヶ崎の家ではじめて使ったので仕上がるまでやや不安もありましたが、全体にとても明るい感じに仕上がり満足しています。
2005/4/27 ishikawa
連載が始まってから、竣工するまで随分時間がかかってしまいました。竣工から早10ヶ月が経過してしまいました。敷地は前面6Mと4M道路の角地にあり、小さい敷地ながら存在感のある建物となりました。
南西角よりのファサード
西側正面ファサードです。昼間はルーバーによって外からの視線を遮ります。1階ルーバー向こうはサービスコート、2階ルーバー向こうはバルコニーになっています。
南側ファサードです。敷地ほぼいっぱいに外壁をたて、その内部は玄関・通りニワ・階段吹き抜けとなっています。
東側から遠方より玄関方向の様子です。
門から玄関です。玄関は吹抜けのある通りニワとなっていて、西側のサービスコートまで繋がっています。
通りニワの吹き抜けです。吹抜けの窓から光が注ぎ、観葉植物を育てるのにちょうど良いスペースです。すぐ右はリビングとなっています。来客は靴をぬいでそのまま2階に上がることも出来ます。この吹抜けの開口による上昇気流によって家全体が自然換気できるように計画されています。
通りニワの吹き抜けです。吹抜けの窓から光が注ぎ、観葉植物を育てるのにちょうど良いスペースです。すぐ右はリビングとなっています。来客は靴をぬいでそのまま2階に上がることも出来ます。この吹抜けの開口による上昇気流によって家全体が自然換気できるように計画されています。
通りニワから玄関方向を見た様子です。
通りニワに面したリビングの様子です。プライバシーを確保するため、1階南側は吹き抜けからの採光としています。リビング床下にはアクアセルと呼ばれる水の入った袋を根太の間に敷き込み、秋から冬にかけて水温30度に設定しています。通常の床暖房のような温度ではありませんが、心地よい温かさとなります。
階段途中から2階を見上げた様子です。
2階居室から南西を方向を見た様子です。
2階南側の様子です。東側にバルコニーがあります。吹き抜けの3面のガラスは日射を遮るLow-eペアガラスを採用しています。
2階西側の様子です。集成材のトラス架構によって、天井役3.5M、平面5.4M×4.5Mの広いスペースとなっており壁面には絵や工芸品など展示できるちょっとしたギャラリーになります。
リビングの南側の和室です。リビングと続き間になっています。
2階東側は、収納スペースとなっています。梯子を上るとロフトスペースになっています。
リビング西側のキッチンです。南西のサービスコートに繋がっています。
ユーティリティ、トイレ、浴室をコンパクトにまとめました。
最後に夜景外観です。2階トラス架構が見えます。
竣工してから、開口部にはすべてロールスクリーンも完備されました。夏の日射と夜間外部からの視線を遮る為です。竣工して、ひと冬、この夏を超え、もうすぐ1年になります。大きなトラブルもなく、御施主様に喜んでもらえると何よりホッと致します。
2006/8/28 fujimoto
dpaはUNHCR協会を通じ難民などの支援をしています
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