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2013〜2009

01・現代建築家8人の設計戦略と理論の探求

 著者:ラファエル・モネオ

02・東京の若手建築家とつくる家

03・日本人はどう住まうべきか

 著者:養老孟司、隈研吾対談

04・スティーブ・ジョブス

 著者:ウォルター・アイザックソン

05・原子力都市

 著者:矢部史郎

06・浅草博徒一代と「love&theft」

 著者:佐藤純一著、ボブ・ディラン

07・0マイル south end of US highway

 著者:稲葉なおと

08・近代建築論講義

 著者:鈴木博之

09・虚像の砦

 著者:真山仁

10・フリー無料からお金を生み出す新戦略

 著者:クリス・アンダーセン

11・限りなく透明に近いブルー

 著者:村上龍

12・ゼロ年代の想像力

 著者:宇野常寛

2009〜2007

13・アイディアの作り方

 著者:ジェームス・W・ヤング

14・「R25」のつくりかた

 著者:藤井大輔

15・石油がわかれば世界が読める

 著者:瀬川幸一

16・「日本の住宅」という実験

 著者:小泉和子

17・建築家は住宅で何を考えているのか

 著者:難波和彦、山代悟

18・医者、用水路を拓く

 ーアフガンの大地から世界の虚構に挑む

 著者:中村哲

19・「お墓」の誕生ー死者祭祀の民族誌

 著者:岩田重則

20・建築紛争ー行政・司法の崩壊現場

 都市計画ー利権の構図を超えて

 著者:五十嵐敬喜、小川明雄

21・不動産は値下がりする!

ー「見極める目」を求められる時代

 著者:江副浩正

現代建築家8人の設計戦略と理論の探求 

2008年に出版されたa+uの臨時増刊号、ラファエル・モネオ著。ジェイムズ・スターリング、ロバートベンチューリ&スコット・ブラウン、アルド・ロッシ、ピーター・アイゼンマン、アルバロ・シザ、フランク・ゲーリー、レム・コールハース、ヘルツォーグ&ド・ムロンについて述べられている。

 モネオがハーバードGSD1990年代に講義していた内容に加えて、ベンチューリとH&Dを加えたものを翻訳した本である。加えられた部分を除けば20年程前に書かれた本である。日本語で現代建築家達についてまとめて書かれている本は珍しいので購入した。半分ほど読んだが、作家論としてはカタログ的であまり深く突っ込んで書かれた本ではなく60年代からの建築のムーブメントと代表的な作家の通史という感じ。自分が大学にいた頃の建築史といえば近代までなので、現代作家については個人的な興味の範囲でしか知らない。スターリングやロッシにはあまり興味がなかった自分にとってこの2人の章ははじめて知る事が多く面白かった。しかし知っている人にはやや物足りない内容ではないだろうか、この本は学生が現代作家を知るINDEXのような役割として書かれている本である。

2013/1/16 ishikawa

若手建築家とつくる家

「東京の若手建築家と作る家」が出版されます。
「中野富士見町の家」を紹介しています。
購入はこちらからそうぞ
東京の若手建築家とつくる家

表紙の建築家の似顔絵が建築家っぽく手作り感があって本の内容とマッチしている?似ているかどうかは知る人ぞ知るです。

2012/11/12 ishikawa

日本人はどうすまうべきか

都市と田舎の参勤交代のススメ

「日本人はどう住まうべきか」養老孟司、隈研吾の対談のメモ。
大学で設計教えていると課題に関連して書籍を購入することが多い。

タイトルは仰々しいが内容は具体的な住まいの話ではなく日本人の社会全般に対する二人の雑感のよな対談である。参勤交代のススメとは養老先生が随分前から提言している住まい方のススメで、1年のうち都市に半分、田舎に半分ずつ交代して住みなさいと言うこと。都市は極度に脳化していて身体感覚が衰えるので、田舎で生物としての肉体感覚を取り戻すことでバランスのとるということで、これは個人だけの問題ではなく都市の人間は田舎に考えが及ばないし、その逆もしかりで社会全体の思考もこの参勤交代によって健全な思考になるということだったように記憶しているが、この本の中では単に視点が単一にならないようにするためと書かれている。

 幼少の頃育った埼玉県八潮市は廻りは全て田畑のようなことろだったが中学、高校になると次第に周辺の緑は住宅へと変わり今では筑波エクスプレスも通り高層マンションも建ち並ぶ都市化された風景に様変わりしている。自分は高校から東京に通い始めそこから都心生活がはじまるわけだが振り返ると30年来都市化された場所で生活をしてきたことになる。今にして思うと小学生くらいまで自然の中で生活した体験は田舎暮らしの体験としてとても貴重だったように思う。早朝から自転車の乗ってクワガタ取りに行ってぬかるんだあぜ道にタイヤがはまり動けなくなりバランスを崩し小川に転落したことも懐かしい。自分の子供達など虫も触れないし樹にも登った事もない肥だめの匂いも嗅いだことはない、やっぱりこれはちょっとまずいのではないかと思うことがある。

参勤交代というライフスタイルを実践するのは簡単ではないが、都市化された場所しか知らない子供達の為と自分の錆びついた身体感覚を取り戻すために少し思案せねばなるまい。長期休暇を取ってなるべく田舎暮らしを体験できるように考えよう。

この本のなかで養老先生はラオス、ルアンバパンのことを気に入っているご様子。自分も昨年訪れ経済的に貧しくても日本人よりずっと楽しそうに暮らしている様子が印象的だった。

2013/3/20 ishikawa

スティーブ・ジョブス

スティーブ・ジョブスの伝記を読んだ。面白かった。建築を考える上でも人生を考える上でも示唆に富んだメッセージがこの伝記には数多く含まれている。

 思い通りにならないなら、ヒステリックに泣きわめき、人を裏切り、目的のためなら後ろから刺すことも厭わない・・・・!これだけなら飛んでもない幼稚な人物で片付けられてしまうのだが、彼がそうではなかったのは、アップルやピクサーが少なくても業界を一変させ世界を変えたからだろう。しかし我が儘な人間はデザインの世界では意外と多く習性とも言えるかも知れない。それでも伝記に書かれたデザインのプロセスは読んでいて興奮する。
 マイクロソフトとアップルがPC創世記の頃に戦った経緯と結果は誰しも知っている過去の出来事であるが今度はスマートフォンに舞台を変えてグーグルとアップルの戦いへの移行している。この二つの時代に共通するのはアップルが改革者でフォロワーはマイクロソフトとグーグルだということである。しかしここで気づくのはマイクロソフトはスマートフォンでは蚊帳の外であり最近の製品もつまらない。アップルをアップルたらしめているのは世界を変える凄いモノを作るんだというマインドで「自らイノベーション出来る会社こそ未来に持続する会社となる」というのはジョブズの哲学であり目標であった。フォロワーはビジネスは出来ても新しい製品を生み出すマインドに欠けるのである。そして「統合アプローチ」と訳された手法、簡単に言えばハードとソフトは一体とする考え方こそデザインの本質のひとつであるとジョブズは信じていた。(そんなに単純なことではないが)

stay hungly stay foolish
とは彼の言葉ではありませんが、このセンテンスが含まれるスタンフォードのスピーチをまさに体現した彼の人生だったでしょうね。・・・・・・統合アプローチ・・・・アートとテクノロジーの交差点・・・デザインをしている人には興味深いと思います。

 話題の本として手にとったが伝記を読むと人生についても考えるようになりますね。まだまだ勝負はこれから!と思わせてくれる元気の出る本でした。

2011/11/13 ishikawa

原子力都市

矢部史郎の「原子力都市」を読んだ。原子力都市とは原発のある都市のことを言っているのではなく、原子力によって象徴される社会のことを言っているらしい。

 鉄の時代あるいは工業都市と原子力都市とは、本質的な違いがあるのはなんとなく誰しもわかるだろう。労働力という言葉があるが、鉄の時代には労働はあくまでも肉体の力を象徴していたし、機械も肉体の延長として考えることが出来た。ところが原子力は肉体の延長として考えることは出来ないし、そこで行われる労働とは「管理」が主、力は必要ない。ひとたび事故が起これば制御不能になりかねない危険性を孕み、しかも誰もその現場を直接見ることは出来ないし、まして放射能も目に見えない不可視なものである。
 原子力都市に象徴される、不可視、隠蔽、嘘、無関心、などはこの本で取り上げれらる都市や事件の背景として論じられ日本の社会そのものが原子力都市であるというように説明されている。
 実はあまりに暗い内容の本で読後どんよりした気分になるのだが、これはおそらく福島の事故を経て、あらためて被爆を目の当たりしても尚かつ日本に数多くある原発のことを思うと、それに対して無関心を装いたくなるような空気感ともいえる。
 ひとつの視点としては興味深いし取り上げられている都市やその場所など知らなかったスポットもあったりして今度訪れることがあれば立ち寄ってみようと思う。

2011/6/2 ishikawa

浅草博徒一代 「LOVE&THEFT」

相撲の野球賭博も八百長問題など東日本大震災でニュースとして影が薄くなってしまったが、それに関連して読み出したわけではないが、日本のアウトローの世界はなかなか興味深かった。
 これはある町医者が自分の患者から聞いた話をまとめた本なのでフィクションではない、その患者の生涯を通してヤクザの世界を知ることが出来る貴重な資料となっている。

 昔のヤクザは世間のアウトローとはいえ、これを読むと相当に粋な人種であったことがわかる。なにより根性のない奴には勤まらないし、分相応なことをわきまえていたようである。それは一般人には決して迷惑をかけないし、そういう女性にも手を出さないというような、けじめのある社会であったようだ。自分は北野映画か極道の妻シリーズでしかヤクザは知らないが、この本に描かれているヤクザは北野監督が扮する古いタイプの義理人情に厚いヤクザにつながっているように思う。北野監督は浅草のストリップ小屋で前座として漫才をしていた時代に、おそらく古き任侠の世界に触れていたのではないだろうか。この本にも浅草での興業とヤクザの関係が書かれている部分がある。
 この本の中では戦後の混乱期のことも書かれていて面白かったのは、戦争が終わった途端に軍人が手のひらを返したように盗っ人に早変わりして大儲けしたというくだりである。軍には戦争末期になっても、倉庫に多くの物資が集められていて戦争が終わった途端に軍人がその物資を横流しして巨万の富を築いていたというのだ、この本のヤクザもそうした恩恵に預かって大儲けしたと告白している。戦後直ぐの時代はこうした機転の利かせられた日本人皆が盗っ人家業に精を出していたらしいのだ。実話としてはじめて聞かされると生々しい、そして戦後の成り上がりといわれる人物達・・・頭に数人思い浮かぶが、彼らはどさくさにまぎれて巨万の富を築いて昭和の時代に突如として闇から表へと頭角をあらわしたのだろう。
 ちなみにこの本は英訳されている。ボブディランのアルバム「LOVE AND THEFT」に盗用されていると一時期話題にあったようだが、作者はむしろ光栄に思っているらしい、「LOVE AND THEFT~愛と泥棒」本の内容にマッチした粋なタイトルかも。ディランのアルバムの中ではお気に入りの一枚でもある。

 2011/4/21 ishikawa

0マイル south end of US highway1:Key West,Florida

表題はアメリカ東河岸の大動脈の道路の起点のことである。そういえば日本の国道1号線も東海岸ですね。
グーグルのストリートビューでも見つけてみた。

このサイトに鮮明な写真が載っている。
South end of US highway 1: Key West, Florida

 ことしは息子の受験などもあって年末年始は正月らしくなかった。暮れも30日まで冬期講習があって明けて3日からというスケジュールで自分が受験するわけではないのだが、息子を朝送り出すのが慌ただしく、勉強しに行った息子を思って送り出してからゆっくり寝る気にもなれずじまい。正月の3日から勉強することもないのにと親は思っていたのだが、ことのほか塾が楽しいらしく自発的に行きたいと言うあたり、誰に似たのかと思う。そうこうしているうちに1月も終わりに近づいた今日この頃であるが、そんななか「0マイル」という本に出会った。写真家の父親と小学校2年生の息子のロードムービー・・・ではなくロードノベルで親子がフロリダのホテルやストリートを撮影しながら旅をする小説である。自分も父親とこのあたりを旅した経験を思い出したりしながら少しセンチメンタル気分になった。わが息子も受験が終わったら近いうちに旅に連れ出してやろうなんて思っているが、中学になろうという息子とこの本のような旅が出来るかは・・・・あやしいですな。ちなみに著者はもともと建築を仕事にしていて転身した作家である。

2011/1/22

近代建築論講義

初夏からいままで今年はばたばたと忙しくてやっと最近一段落をした次第で、やっと少し本を読むことができるようになった。秋になって大学の授業が再開され八王子までの電車で読書できる時間も読書が進んでありがたい。読書の秋ですね。表題のこの本は鈴木博之氏の大学の最終講義と言うことで氏の長年にわたる研究の大系をつかむことが出来る内容となっている。地霊(ゲニウスロキ)という言葉は学生の時にはじめて知った言葉でおそらく「東京の地霊」という本から知ったのだと思うのだが、学生の頃コンペや設計課題をする時にはよくその土地の歴史を調べて設計に反映することができないかと考えたものである。こうした姿勢は当時当たり前のように考えていように思うが今になってコルビジェやミースなどの過去の巨匠や現代の建築家などのコンセプトにないこと(コルの晩年はそうでもないが)を確認したりするとこれは氏の影響だったのかも知れないと今になって思うのである。その他、この本を読んでから数冊氏の本を購入したので、過去の読んだ本とあわせてこの秋に読んでみたいと思っている。「都市へ」はおもしろかったなぁ・・・。

2010/10/20 ishikawa

虚像の砦

虚像(メディア)の砦 真山仁著
NHKのドラマ「ハゲタカ」の作者。こちらはテレビ局の裏側を描いた小説だけにドラマ化はあり得ない。 文中の登場人物や事件はフィクションとなっているが、ほとんど現実の事件を想像できるような当て字で書かれていて、それだけでドキュメンタリーを見ているように書かれているのでは。物語は報道とお笑いのディレクターの物語が平行して最後に一本に重なり合う構成で、テレビがどのようなメディアであるかを少しだけ垣間見たように感じた。 個人的にテレビはそろそろダメでしょと思っている。民放の番組なんて見るに堪えないしCMの前後の編集なんて見る人間に苦痛以外の何もでもない。(同じ内容を引っ張りすぎで生で見る気がしない)最近はネットをする時間が増えているそうだが、やはり自分が好きなものを検索して見ることで時間を有効に使えるだけでもテレビは負けている。小手先のまやかしばかりしていないでもう少し気骨のある内容の番組を制作してほしい。でなければユーチューブの画質と速度が向上した時点でテレビはアウトでしょ。

2010/3/6 ishikawa

フリー 無料からお金を生み出す新戦略

昨年末からベストセラー。
昨年から購入を迷っていたのですが、アエラの書評でダメを押されてついに購入。
それと本の帯にあるコピー「あなたがどの業界にいようとも<無料>との競争が待っている。」・・・恐ろしいですね。「日本にはタダほど高いものはない」という格言がありますが、商売も同じで<無料>サービスといえば、その後に大金を支払わされるための前段であると考えてしまいますよね、この本ではこうした<無料>に関する歴史的考察からはじまり、最終的にネット社会によってあらたに可能になった<無料>によってどのようなビジネスが出来うるのか、その戦略はどうあるべきかについて書かれている・・・らしい・・まだ全部は読んでいないので。「あなたがその業界にいようとも<無料>との競争が待っている。」ネットコンペなんてまさにそうですね。やられちゃってますね、既に。この本を読んで建築家家業の利益の出し方のヒントになるといいですが。

2010/1/14 ishikawa

限りなく透明に近いブルー

1978年が初版のようなので30年以上前の本である。
 村上龍といえば、TVRYU'S BARという対談番組ではじめて知ったんだろうと記憶している。その後、坂本龍一との対談をした本や「コンロッカーベイビー」など数冊読んだ記憶があるが、処女作であり代表作である「かぎりなく透明に近いブルー」はなぜだか読んだことがなかった。ではいまごろなぜ?といえば、実は「カブリア宮殿」というこれも村上龍のTV番組でデザイナーの川崎和男が出演していたとき、最後に「実は若い頃小説が好きで自らも書いていた時に「限りなく透明に近いブルー」を読んで作家になることを諦めた」と言っていたのをたまたま観て、好奇心をそそられたわけである。いまでこそこの内容に驚きはないが、30年前はどうだったのかは当時10才だった自分には想像がつかないが、はじめて読んだ感想を言えば面白かった。80年代自分の高校から大学にかけて憧れて観ていたTVや音楽など当時の文化的な匂いというか風を感じることが出来て、78年ということを考えればこの小説がその先駆けであったんだろうということを充分に感じることができた。

2009/8/10 ishikawa

ゼロ年代の構想力

「ゼロ年代の想像力」宇野常寬
まだ途中だがなかなか挑発的で面白い。

攻撃的で挑発的な内容である。90年代から21世紀の00年代への批評のパラダイムシフトについて書かれている。90年代の「ひきこもり」「エヴァンゲリオン」から00年代は「バトルロワイヤル」「デスノート」へと時代が変化しているという文脈設定からはじまる。00年代はこのシフトに批評家が全く気づかずに90年代を引きづったままの批評家ばかりで、こうした批評家ごとバトルロワイヤルのごとくゲームから退場させようという本である。

90年代は就職をして世間の荒波にもまれ、00年代は事務所の設立、それ意外にも私生活でも様々な変化のあった時期で個人的に余裕がなく、建築の周辺のアートや思想に一番疎い時期で、「バトルロワイヤル」も「デスノート」も観たが単なる娯楽映画としか受け止められなかったが、この本を読んではじめてその背景を知ることが出来た。まだまだ半分も読んでいないが、なかなかエキサイティングな内容である。

2009/7/22 ishikawa

 アイディアの作り方

古典的名著と言うことで読んでみました。1時間程度よめるくらい簡潔にアイディアが生まれる原理と方法が書かれています。個人的メモに近いですがおおよそこんな感じ。

原理
1アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ
2既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性を見つけ出す才能に依存する。事実と事実の関連性を探ろうとする心の習性がアイディア作成には最も大切。

方法
1資料を収集すること 
集めなければならないのは特殊資料と一般資料
特殊資料とは製品とそれを売りたいと想定する人についての資料
一般資料、ファインアートからエジプト埋葬習慣まで一般教養すべて

2集めた資料を咀嚼すること
資料にさわって組み合わせを考え抜く、途中で思いついたアイディアを書き留める。そして頭がごちゃごちゃになって何がなんだかわからなくなる。ところまでできたら第2段階完了

3問題を全く放棄すること。いったん問題を無意識に移し眠っている間にそれらが勝手に働くにまかせておく

4アイディアが訪れるにまかせること

5アイディアをそれが実際に力を発揮しなければならない場である現実の過酷な条件とかせちがらさといったものに適応させるために忍耐強く種々たくさんな手を加える必要がある。

著者によればアイディアはこのやり方でほぼ機械的に出来上がるのだそうです、つまり普遍的な方法であると言っています。自分もそう思いました。しかしこの方法でやればいいアイディアが直ぐに出来るかと言えば、ノーです。なぜなら方法1の一般的資料のストック多く無ければ組み合わせが乏しくなるからです。つまり普段からアイディアの種を沢山貯めておくことで、既存の要素の組み合わせが多くなりより良いアイディアに結びついてゆくというわけです。それが出来ればあとはこの方法で泉のようにアイディアが思い浮かんでくる?というわけです。やっぱり99パーセントの努力ということですね。

2009/6/11 ishikawa

R25の作り方

R25というフリーマガジンをご存じですか?

 100万部はけることもあるこのフリーマガジンのことを世代も違うのでほとんど知らなかったですが、あるブログの書評で知り興味を持ちました。その興味とはR25世代といわれる25~35才くらいまでの世代の本音の部分が実は今の大学生を知る上でもしや役にたつのでは思ったのである。R25とは首都圏300万人といわれるM1世代をターゲットにマーケティングした内容が結構詳しく書かれているのである。 
 読後の感想としてはほぼ思った通りで、しかも本音の引き出し方や、接し方まで伝授されてしまい勉強になりました。数年来大学で講師をしていて一番苦労していたのは彼らの本音や好きなことを引き出すことで、この部分が引き出せないとなかなか面白いアイディアへ飛べないのである。この飛べない学生が何処へ行くかというと、やる気をなくすか、無難な案(こんな案があるのかわからないが)に収束してしまうのである。そうしたあまりよい方向へ行かない学生達の原因がエスキスを担当している自分のやり方にあるのではないかと常々思っていたのだが、この本を読んでみてその理由が少しわかったような気がした。今の学生達とM1世代とはややズレがあるのだが、時代背景は同じはずで、この本を読んでいてふむふむと思い当たる節は多々あった。
 まぁ勤めている大学は建築の学生が多くその全てが建築家を目指しているわけではないので、モチベーションが上がらない学生が多いのはある程度仕方ない部分もあるのだが、そういう学生でも、どうせならもう少し楽しみながら建築設計を考えてもらえたらと思うのである。

2009/5/22 ishikawa

石油がわかれば世界が読める

少し大袈裟な感じもありますが、環境問題を読み解くには必要な知識と思います。

 環境問題というと漠然としていて、マスコミではCO2削減ということばがニュースや新聞で・・・・という感じなのですが・・・・そして諸悪の根源は石油使ってCO2が排出されることで、とにかく石油からエネルギーを代替することに単純に結論が導かれていくわけでありますが、では石油は今の世界文明にどれだけ寄与しているのかということをおおまかにでもご存じのジャーナリストがいるかというと、かなり怪しい気がしますね。自戒の念も含めていますが。
 それならどうすれば石油について知ることが出来るんだとという事に大雑把に答えてくれるのがこの本というわけです。冒頭は「松茸」の話からはじまるのですが、石油文明になる以前は「松茸」は一般の食卓に普通に食べられていたということがこの本では書かれています。なぜか?それは石油になったおかげで都市近郊では緑の密度が高くなったからであります。それによって松茸が育つ環境が失われたのです。松茸は風通しの良い手入れの行き届いた赤松の森に育つのだそうです。石油によって放置された森には松茸は弱すぎて他の植物に負けてしまうのだそうです。従って緑の密度は一昔前に比較すると都市近郊では確実に密度が高くなっているというのが著者の説明です。(都市近郊の宅地化などもあるので信憑性の程はわかりませんが、松茸が採れなくなったことは事実と思います)また霧の都のロンドンの霧が晴れてしまったのはなぜか?霧になるには石炭を燃やしたすすが大気中に舞っていて大気汚染が深刻であったことと無関係ではありません。賢い人はすでにおわかりと思います。
 なぜ人類は石油を使うようになったか、それによる功罪を評価せずに、石油を捨てて薪ストーブを使うことが本当に環境問題の解決になるはずがありません。この本を読むと石油文明からパラダイムシフトすることがいかに困難かがうかがい知れます。1日でさっと読める点でもオススメです。

目次
1
石油をめぐる世界の動き(石油と環境の意外な関係石油は環境に良い?地球環境問題は、そう単純ではないほか)
2
石油を上手に大切に使う(これからの自動車は何で走る?自動車燃料にはエネルギー密度が必要まず燃費の改善ほか)
3
石油文明は終わらない(古くて新しい石油とのかかわり人類の歴史のほとんどは真っ暗闇?
チャーチルの英断―海軍の燃料を石炭から石油へほか)

2009/5/15 isikawa

「日本の住宅」という実験

聴竹居にいたるまでの藤井厚二の実験住宅の軌跡を追うことが出来る本。

 いまでこそエコ住宅や環境に優しい家などと言われるようになってきたが、藤井の実験は住宅は戦前の研究である。環境工学という学問も無かった時代に快適な住まいの環境とは?という問いをたて、科学的に研究を行った日本で初めての研究者という位置づけになるのだ思います。驚きなのは第1回実験住宅から第5回の聴竹居に至まで全て自邸であったことである。その間11年である。金持ちであったということである。
この本には藤井の懐事情や生い立ち、そしてなぜ「日本の住宅」なのかという時代背景が丁寧に調査され書かれている点が好感が持てる。
 環境住宅について興味を持ってこの本を購入したが、技術的なことは現代に良く知られていることばかりで特段特殊なことはない。最近注目されていることを70年も前に実験していたということが藤井建築の価値の高さなのだろう。
 また「日本」というくくりのなかで、藤井のデザインした家具やインテリアは西洋建築の真似事一辺倒だった当時に批評性をもっていて興味深いのであるが、今となってはそれも歴史の一部に過ぎないと感じる。
 個人的には今日的意義は見いだせなかったが、歴史を知る上ではいい本であったと思う。 

目次
1日本の住宅をめざして(藤井厚二の生涯
時代背景
藤井はなぜ忘れられたのか
実験住宅)
2日本の風土に適合した住宅(夏が厳しい日本の気候
環境共生住宅をどうつくるか
聴竹居に見る環境共生住宅
その他の住宅に見る環境共生手法
藤井の環境共生手法その後)
3畳と椅子の融合(家族本位の合理的な平面
イス座とユカ座の融合
造りつけ家具
独立家具)
4和風材料による内装(和風デザインの尊重
和風材料による内装
照明器具と天井でっザイン
藤井厚ニの今日的意義)

2009/4/24 ishikawa

建築家は住宅で何を考えているのか

本のタイトルからして大袈裟な印象のする本なのですが、建築の専門書を主に扱っている彰国社からだと、本当に堅いタイトルだと思うのですが、PHPからだとそれも少しライトな印象に感じます。

「家族像とプランニング」「ライフスタイル」「集住/かたち」「街/風景」「工業化と商品化」「リノベーションの可能性」「エコロジカルな住宅」「素材/構法」
「ちいさな家」「住みつづける家」
本の章立ては以上の10のテーマからなり、各章にそのテーマを代表する住宅カラー写真とと平面図で紹介されていて、とてもわかりやすく分類されていいます。内容は難しいものではなく、そのテーマの入り口だけの紹介という感じで、建築の勉強をはじめたばかりの学生や建築に興味のある一般の人向けの入門書という感じの本です。ということで早速、非常勤で受け持っている学生達に住宅課題の参考にとオススメしてきました。またこれから自分の家を持とうと考えている一般の方がこの本と出会うことで、おそらく意外な世界がそこに展開されいたことに気づいてもらえ、住宅を通して自分の生活をさらに豊かにすることができるのではないかと思います。 読書の秋ですから。

2008/10/20 ishikawa

医者、用水路を拓く

アフガニスタンの現実を日本人はどれほど知っているだろうか、私自身もこの本を読む前はアメリカのテロとの戦いに不信感を抱きつつも、何も知らなかった。きっかけは、ニュースでペシャワール会の現地ワーカーである伊藤和也さんの死を知ったことにはじまります。この本を手にして、アフガニスタンの現実とサブタイトルにもある「世界の虚構」について改めて深く考えさせられました。アフガンで今おこっていることは、グローバル経済というアメリカ人に都合良くつくられた虚構とそれに無縁な現実社会で働く労働者、あるいは失業者の縮図なんだと痛感しました。アメリカの軍事力、金融工学はグローバルスタンダードという偽善と虚構がアフガニスタンにまで及び世界の隅々から富の上澄みをかすみとり弱者をつくりだした、そしてその上澄みはアメリカ人の住宅や自動車、車、娯楽費用へと姿を変え、挙げ句の果てにその浪費の果てにふくらんだ借金のツケを世界中の労働者の税金である公的資金で穴埋めさせるという事態に及んでいる。一方でペシャワール会がアフガニスタンの大旱魃と地球温暖化のために陥った飢餓を救うために用水路にかかった費用は戦費の一兆ドルに比較すれば、ほんの数億円のお金と会と現地の労働力であります、しかもアメリカのテロとの戦いによる空爆の危険や名ばかりの西側諸国の現地の状況を無視した援助活動という逆風のなかで活動しています。そしてタイトルにもあるように医者である著者が独学して現地に相応しいやり方を手探りで模索しながら用水路を建設していく様子は超人的で感銘を受けずにはいられませんでした。そして日本人にも亡くなられた伊藤和也さんやペシャワール会のような人達がいることを同じ日本人として誇りに思いました。あらためて伊藤和也さんのご冥福をお祈りいたします。アフガニスタンに少しでも興味のある方、株式投資している方、政治家の方、全ての日本人、世界中の全ての人々にこの本を読むことを強く薦めたいと思います。

2008/10/16 ishikawa

お墓の誕生ー死者祭祀の民俗誌

お墓のデザインを考える機会があって、少しでも知識をと思い購入した本。余談であるが、死に関わる「墓」と「誕生」という矛盾する言葉が本のタイトルとして面白い、サブタイトルが本の内容をあらわしているがあまりに堅いと言うことだろう。やはり知らないことだらけで、大変参考になった。この本をあしがかりに興味ある部分へと深く入っていくことができそうである。ちなみに現在よく知られているお墓は「カロウト式石塔」と言うらしい。

第1章 お盆の儀礼から何が見えるか(「迎え火」「送り火」の一般的常識
盆棚は先祖を祀るのか)
第2章 葬送儀礼と墓(葬送儀礼における霊魂
埋葬と石塔建立のあいだ)
第3章 「お墓」の誕生(画一化していく墓
共同幻想としての「お墓」)
第4章 夭折者の墓と「お墓」(子供の墓
戦死者と「お墓」)

2007/10/6

「建築紛争ー行政・司法の崩壊現場」「都市計画利権の構図を超えて」

本のタイトルは「建築紛争」であるが耐震偽装に端を発した建築行政及び司法のずさんな現場を報告している。建築設計に携わるわたしから見て違和感なく真実を伝えているように思う。

1日本が危ない耐震強度偽装問題の構図
2数の偽装住宅地にそびえ立つ高層マンション
3「官から民へ」の落とし穴建築法制の崩壊
4プレーヤーたち政官財、マスメディア、そして米国
5裁かれる裁判官「良心」を忘れた司法
6美しいまちへ問われる市民

同じ著者の「都市計画利権の構図を超えて」以前に呼んだことがあるが、合わせて呼んでいただくと、日本の都市が政治家や財界によって食い物にされている構図が未だに続いている現状がよくわかる。かつて石原慎太郎が東京の景観はゲロのようだと建築家の集まりで発言したが、それは天に向かってつばを吐くような発言で、政治に責任の一端というよりほとんどがあることは明白である。
それにしても、基準法違反を訴えてもほとんど勝ち目のなく、建設してしまえば経済的損失を理由に撤去されない現実を知ることは本当に憤りを感じる。日本の裁判の現実に本当に失望させられる事実を知って少しショックであった。

2007/9/28 ishikawa

不動産が値下がりする!−見極める目が求められる時代

やや過激なタイトルですが、不動産からみた日本経済の先行きについて書かれています。著者はリクルートを創業した江副浩正氏によるものでリクルートコスモス、現在はコスモスイニシアの会長でもありました。本書はそうした江副氏のこれまでの豊富な経験と知識から都市問題、税制の問題などについて広範囲のトピックスを取り上げて、書かれており現在の不動産バブルの状況に警笛を鳴らしている。不動産バブルはご存じの通りREIT(Real Estate Invesment Trust=不動産投資信託)によって牽引されてきたのわけですが、それは日銀の低金利政策と規制緩和によってもたらされた不動産ファンドであるわけです。本書の結論から言うと金利上昇に伴ってそのREITが破綻しバブルが崩壊するということです。その仕組みがわかりやすく解説されています。不動産の問題は都市と建築の問題であるので本のタイトルと著者に興味をもって本書を購入したのですが、失礼かもしれませんが江副氏が東京や日本の都市開発についてこれほど詳しいとは少し驚きでした。豊富な経験と知識に触れることが少しでもできて大変勉強になった次第であります。

目次
第1章 変貌する大都市
2章 埋め立てや規制緩和で土地は「生産」されている
3章 都心一極集中まだ床が増産され続ける
4章 都心周辺や郊外部でも土地の生産が続く
5章 インフラ整備に伴う供給の増加
6章 金利の上昇は地価の下落に直結する
7章 近く金利は上昇し、不動産価格は下落する
8章 不動産バブル問題

2007/9/10 ishikawa

dpaはUNHCR協会を通じ難民などの支援をしています
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News

井戸掘り体験会W.S
2015年6月6日土曜日にdpaアトリエの前庭にて井戸掘り体験work shopを開催します。dpaではかねてより「水」をコンセプトとして建築づくりを研究しています。井戸掘りは地下水利用による建築を設計するためのデータ収集用に設置することにしました。
ご興味ある方は6月6日に井戸のある住宅の展示も予定しいますのでご覧いただき、ご指導、ご意見いただければ幸いでございます。
当日、直接来ていただいてもかまいませんし、作業をしたい方はフォームにてご連絡下さいませ!
6月6日の予定
9時より準備作業、掘削開始
12時〜13時昼食
13時〜16時掘削作業
協力:シップスレインワールド株式会社
未来をのぞく住宅展
下記イベントに参加します!
ご来場をお待ちしています。
ASJ東京中央スタジオ
武蔵野市民文化会館 展示室
3/20(土)12:00〜18:00
3/21(日)11:00〜18:00
入場無料(終了しました)
リニューアル中
昨年12月末よりホームページをリニューアル中につき2月中はコンテンツの追加や内容の改訂などが多数ございますがご了承下さい。
リノベーション×建築家
ASJ武蔵野スタジオ
小金井市民交流センター B1・市民ギャラリー
東京都小金井市本町6-14-45
1/31 (土) 11:00~18:00 
2/1 (日) 11:00~18:00 入場無料 (終了しました)